2025年01月15日

終わりから始まる、新しい建材の命

木材の命をつなぐ、大建工業の挑戦

大建工業は、創業以来「木材を余すことなく活用する」という哲学を大切にし、この理念をすべての製品づくりの基盤としています。この哲学から生まれたのが、「木はすべて命のある資源であり、無駄にすべきではない」という強い信念です。この信念のもと、同社は木材が廃棄される現状に向き合い、持続可能な社会に貢献する技術開発を続けてきました。

建築解体材や製材端材など、木材が廃棄される現状を改善するための技術開発を続けてきた

こうした取り組みの象徴が「使い終わった木材に新たな命を宿す」という考え方であり、それを体現する製品が「インシュレーションボード」です。この建材は、建築解体材や製材端材などを原料としています。同社の技術によって、使用する木材の80%以上を建築解体材由来とすることを実現しました。この過程で単なるリサイクルにとどまらず、木材の可能性を最大限に引き出す「再創造」のプロセスを確立。CO2排出削減と資源循環の推進という重要な課題にも応えています。

「インシュレーションボード」は、木材という命ある資源を活用し続けるための一つの答えです。大建工業の理念と技術が融合したこの製品は、素材そのものの課題を解決し、持続可能な社会と新しい建築の在り方を形づくるという目標そのものを体現しています。

環境問題と建築の進化を同時に解決

使用木材の80%以上が建築解体材由来の「インシュレーションボード」

「インシュレーションボード」は、独自の製法によって木材を粉砕・繊維化し、成型することで高い断熱性や吸音性を実現した建材です。壁や床の下地材、畳床、養生材など多様な用途で使用され、日本の伝統的な畳文化の継承を支える重要な役割を果たしています。また、炭素を長期間貯蔵する特性から、カーボンニュートラルを目指す建築業界のニーズにも応えており、軽量で加工性が高く、施工のしやすさと環境負荷の軽減を両立したこの製品は、環境問題と建築の進化を同時に支える素材として広く評価されています。


さらに、大建工業は「インシュレーションボード」のリサイクル性を向上させるため、広域認定制度を活用した回収・再資源化の仕組みを構築しています。例えば、住設機器メーカーにて使用済みボードを選別し、再利用可能なものはそのまま活用し、再利用が難しいものは原料として再生しています。これにより、製品寿命を延ばすとともに、循環型社会の実現に向けた取り組みを進めています。「インシュレーションボード」は単なる建材にとどまらず、アップサイクルを通じて環境課題の解決に貢献する存在となっています。

持続可能な未来への挑戦

大建工業は、限りある資源を最大限に活かしながら、環境と社会に寄与する製品を開発しています。たとえば、未利用材や製材端材を解繊して土壌改良材や園芸資材に再生する「DWファイバー」「グロウアース」は、資源循環型の新しい素材として注目されています。

ロックウールやシラス(火山灰)を主原料とする「ダイライト」は、軽量かつ高強度、防火性を備え、住宅の耐力面材や不燃化粧板基材として利用されるなど、多様なニーズに応えています。また、東海道新幹線の解体車両のアルミを再生利用した芯材と「ダイライト」を使った「グラビオルーバー ボルト固定式 新幹線再生アルミ芯タイプ」を環境配慮した素材を組み合わせた製品として2024年3月に発売しました。これらの製品は、自然環境への負担を軽減しながら、建築分野の課題に対する具体的な解決策を提供しています。

「グラビオルーバーUSボルト固定式 新幹線再生アルミ芯タイプ」駅舎天井への施工イメージ

さらに、同社は「DAIKENサステナビリティ基本方針」のもと、次世代の技術革新に注力しています。岡山県に2018年に設立したR&Dセンターでは、資源循環を推進させるという考えのもとで、循環を前提とした新しい素材・建材の研究開発を行っています。

DAIKEN R&Dセンター エントランス

炭素貯蔵効果を高める建材や、木質由来成分からなる接着剤の開発などの取り組みを通じて、持続可能な建築資材の可能性を広げています。これらの挑戦は、製品を通じた環境貢献にとどまらず、地球規模の課題に対する解決策を示す道筋でもあります。同社の活動は、豊かな未来社会を築くための具体的な一歩を示しています。