2022年09月29日

建築現場の廃材・端材をアップサイクルし、新たな価値を生み出す

埼玉県・戸田市を拠点に活動するサンクジャパン株式会社のアップサイクル事例を紹介。

住宅や店舗、オフィスなどの内装・外装仕上げ工事を手掛けるサンクジャパン。熟練の技術をもつ300人以上の職人さんとタッグを組み、リフォームやリノベーションをトータルで手がけるほか、設計や不動産仲介業、まちづくり、職人さん向けの経営戦略勉強会などを展開しています。

近年、子育て世代やファミリー層を中心に移住人口が増えているという戸田市。「個性的な人が集まるお店や拠点を増やして、戸田をもっとおもしろい街にしたい」と、2020年から不動産事業をスタートし、地域の倉庫や建物をリノベーションして貸し出す事業をはじめました。

「美容室やレストラン、設計事務所など、個性を持つ若手経営者やクリエイターなどにご入居いただいています。『やっと探していた物件に出会えた』という方も多く、入居者同士で新たな交流も生まれています」

戸田駅近くにあるサンクジャパンのオフィスも、元は長らく自動車倉庫として使われていた建物。代表の清水さんが偶然見つけ、初めは資材倉庫として借りていたものの、空間が秘める可能性に惚れ込み、事務所スペースを新設したといいます。

「柱や梁の一部はあえて塗装せず、古いもの特有の良さを残しています。壁面の一部には、リフォームやリノベーションの際に建築現場で出た廃材を活用しました。ただ、古い建物は『夏は暑い、冬は寒い』といった不便な点もあるため、吸湿性の高い珪藻土や卵の殻由来の壁材を使って快適性を高める工夫をしています」

現在のオフィスへの移転を機に、新しい取り組みも始めました。これまで有料ゴミとして処分していた建築廃材や端材を、地域の方に向けて無料で配布しています。すると、近所に住む方がDIYの材料にしたり、美術を学ぶ学生さんが課題制作の材料にしたりと、思い思いに活用されているといいます。

「当たり前に捨てているものでも、必要としている誰かにとっては価値ある宝になり得ます。環境問題への取り組みであると同時に、廃材をきっかけにした地域の方々との交流手段となっています」

アップサイクルから新たなつながりと可能性が生まれています。