2022年11月22日

東京の歴史的建造物を新しい“緑”としてリノベーション「kudan house」

東京・九段下に佇む「kudan house」。国の登録有形文化財「旧山口萬吉邸」をリノベーションしたこの建物を、コミュニティ・デベロップメントの場として再編集し展開するという取り組みが、都市緑化や建築・施工を通じて居心地のいい街づくりを手がける東邦レオ株式会社と、新規事業を通じた運営を得意とするNI-WAによって行なわれています。

「NI-WAはここを会員制のイノベーション拠点として運営し、オフィスではできないコミュニケーションをはかれる共創の場としています」と、「kudan house」を運営するNI-WAの高山尋未さんは言います。

その言葉どおり、ここには「kudan house」の理念に共感した多くの法人会員企業が集い、社外ミーティングや研修、新商品の発表会などに使用しているだけでなく、法人会員企業から選抜された少人数向けの研修事業・ビジネスサロンが展開されています。

「ビジネスエコシステムの構築によりコラボレーションを生み出す場として、フラットにコミュニケーションできること、その人がその人らしく過ごせる場づくりをしていくことがコミュニティを育てるポイントだと考えているからです」と髙山さん。

この「kudan house」のプロジェクトには、東邦レオとNI-WAのみならず東急、竹中工務店も参画し、20年という期間を設けて、ここで生まれた人の交流が新しいものを作り出したり、あるいは九段下という街のイメージそのものが向上したりといった結果を出したりすることで「よりよいかたちでオーナーにお返しする」というスタンスが取られています。

この「よりよいかたちでお返しする」というテーマは、東邦レオとNI-WAの掲げるテーマでもあり、「ただ土地や建物を保存するだけでなく、そこに集う人の生き方で未来の風景を作るのが目的」だと髙山さんは語ってくれました。

「期限を迎え、自分たちが去ったあともその場所が愛され続け、誇りに思ってもらえるように、変えるものは変え、残すものは残すようにしています」

40年以上にわたって都市緑化に携わってきた東邦レオですが、この「kudan house」に代表されるように“緑のあり方”が近年変わってきていると髙山さんは指摘します。

「東邦レオでは昔から、緑そのものに価値があるのではなく、その空間が活用されて初めて価値が生まれると考えてきました。近年は国の政策においても、ただ緑を増やすのではなく“量から質”への転換、緑は“目的”ではなくさまざまな問題解決へのきっかけの一つとするというように意識の変化が生まれています。これからもテーマを定めて、ここ『kudan house』のような緑を通じたコミュニティ・デベロップメントに携わっていければと思います」

kudan houseを運営するNI-WAの高山尋未さん